映画『天使のくれた時間』感想ネタバレあり。もしもクリスマスの日に奇跡が起きるなら

『ラッシュアワー』ブレット・ラトナー監督
ニコラス・ケイジ × ティア・レオーニ 出演

今回は『天使のくれた時間』をご紹介します。

作品情報

原題:THE FAMILY MAN
邦題:天使のくれた時間
上映時間:125分
制作:2000年/アメリカ
日本初公開:2001年

キャスト・スタッフ

監督:ブレット・ラトナー
脚本:デヴィッド・ダイアモンド、デヴィッド・ウェイスマン

登場人物:
ジャック・キャンベル…ニコラス・ケイジ
ケイト・レイノルズ…ティア・レオーニ
キャッシュ…ドン・チードル
アーニー…ジェレミー・ピヴェン
アニー・キャンベル…マッケンジー・ヴェガ

あらすじ

成功を夢見て恋人ケイトと別れロンドンへ旅立ったジャック。13年後のいま、ジャックは大手金融会社の社長として、優雅な独身生活を満喫していた。

クリスマス・イブ、昔の恋人ケイトからの電話があったが、かけ直すことはしなかった。

その夜、自宅で眠りについたジャックだが、目覚めると、ケイトと我が子2人に囲まれた家庭人ジャックになっていた……。
<引用元:allcinema.net>

感想

「もしあの時違う選択をしていたら…。」誰しも一度は考えたことがあるんじゃないでしょうか。

そんな“もしも”が実際に起きたらどうなるのか、というクリスマスを舞台にした物語です。クリスマスってのがまたいいですよね。何か奇跡が起きそうで。

最後にコーヒーを飲みながら前のめりで話していた2人ですから、きっと続きは“もしもの世界”に繋がっているのかなと想像も膨らみます。

できたら娘アニーが2人の元へやって来てくれるといいな…。

感想とポイント(ネタバレあり)

↓↓ネタバレとなりますので、知りたくない方はお戻りください

13年前、もしもの分岐点

13年前(1987年)の空港。ロンドン行きの飛行機に乗ろうとするジャックを恋人のケイトが引き止めます。

「2人で何度も話し合って、あなたがロンドンへ行くことは“正しい”と分かってる。だけど心では“間違ってる”と思ってるの。」

アメリカのロースクールに進むケイトは、ロンドンのバークレイズ銀行でのインターンシップの機会を得たジャックに、そのチャンスを棒に降ってそばにいて欲しいと言うんですね。

「いい仕事が私たちを幸せにするんじゃなくて、2人が一緒にいて初めて幸せになれる」

ジャックはケイトの気持ちを受け止めつつも、たとえ100年離れたとしても君を愛することは変わらないと告げて飛行機に飛び乗るのでした。

うーん。ケイトの気持ちが理解できません。私が仕事をしているからそう感じるのかもしれないんですが、相手のキャリアアップを応援できないのかと。しかもロンドンへ行ったきりそこに住む計画ならまだしも、予定では1年のようですし。うーん。

と思っていたら、ケイトにはこれが別れになると分かっていたんですね。ジャックからすると「私と仕事どっちが大事なのよ?」状態ですから、キャリアを選ぶと破局だということが彼にも分かっていた上での選択だったようです。

何もかも手に入れた生活

時は流れて現在(2000年)。ジャックはニューヨークのウォール街で大手金融会社の社長となっていました。高級マンションに住み、フェラーリを乗り回し、女性には困らない。誰もがうらやむ独身生活を送っています。

ジャックは数十億ドルの企業合併をすすめていてクリスマスイブも働きづめ。そんなジャックは部下たちにも自分と同じ犠牲を要求します。

なかなかひどい社長ですよね。自分が独り身だからって、みんなも独り身ってわけじゃないのに。

クリスマスは合併が終わるまで来ないと思えと伝え、クリスマスの午前中に緊急会議を開き午後からは打ち合わせのためアスペンへ出張に行くことを決定します。

大事な家族行事でもあるクリスマスを仕事で潰すなんて。大きい仕事の前に休みとか言ってる場合じゃないのかもしれないけど、クリスマスなのに…。

そんな中、オフィスに戻ったジャックは元カノのケイトから十数年ぶりに電話があったことを秘書から聞かされます。

でも「きっとケイトも一人きりのクリスマスイブを過ごしていて昔を懐かしんで元カレの自分に電話してきたんだろう」と判断。自分にとってケイトは“過去の人”と放っておくことに…。

未練ありますね、これ。

イブの仕事を終え家へ帰る途中でコンビニに立ち寄ったジャック。するとそこへ黒人の青年がやって来ます。

彼は大金が当たった宝くじを換金して欲しいと店員に伝えますが、店員は宝くじの不正を疑い取り合いません。銃まで持ち出した青年を見て、ジャックは自分がその宝くじを買い取ると申し出ます。

青年の怒りを収めることに成功したジャックは、つい余計なお節介を焼いてしまい青年に俺を救うつもりかと笑われます。

“天使”からしたらバカな話ですよね。救うのは自分の役割で救われるのがジャックのはずなのに。

みんな何かが必要だと続けたジャックは逆に「じゃあ、あなた自身は何が必要なんだ」と言葉を投げかけられます。人生で何か足りないと感じているか、と。

ジャックは「必要なものは全部持ってる」と答えるのでした。

こう言い切れるジャックは本当に成功者なんでしょうね。潔いというか、すごくないですか。口が裂けても必要なものは全部持ってるなんて言えません…。

ジャックの答えを聞いた青年は「行動が結果をもたらす。これから起きることは自分が招いたことだ。」と意味深な言葉を残してジャックと別れます。

ジャックは困惑したものの、自身の高級マンションへと帰り眠りにつくのでした。

もしもの世界

翌朝、クリスマスの日。目が覚めたジャックは自分が郊外にある家のベッドにいることに気づきます。隣には13年前に別れたはずのケイト、そして小さな子供2人まで。

状況を理解できないジャックは慌ててニューヨークのオフィスと自身の高級マンションへ向かいます。

寝起きでパニクるジャックが最高です。寝起きドッキリにしては手が込んでるし、度が過ぎてますよね。自分だけが取り残されたようで、そりゃ確かなモノを求めたくなります。

でも、ここではジャックの存在はなかったものとなっていて知り合いにも不審者扱いされる始末。すると混乱するジャックの前に“ジャックのフェラーリ”に乗って再び黒人の青年が現れます。

これは“チラ見”なんだという青年。ジャックがなぜ“チラ見”しているのか自分自身で見つけること、そして答えを見つけるための時間は十分にあることを告げに来たんです。

ジャックは“もしもの世界”にいました。ケイトと別れずアメリカに残った場合に迎えたであろう世界。

この世界でジャックは義父のタイヤ店でタイヤのセールスマンをやっていて、ケイトは非営利の弁護士となっていました。生活は庶民的ながらも2人の子供に恵まれています。

だけどジャックにとってケイトは元カノであり、過去の人。さらに子供と言われても自分じゃないジャックの子供にしか思えません。

周りの大人たちが誰も気づかない中、ジャックの娘アニーだけは彼がパパじゃないと気づきます。パパがいつも与えてくれる愛情を感じなかったんです。そのため宇宙人がジャックになりすましていると気づいたわけです。

ジャックに「地球へようこそ」と伝えるアニーがめちゃくちゃかわいい!

小さな協力者を得たジャックは、ぎこちないながらもこの世界のジャックとして生活していきます。

本当の分岐点

元の世界とは収入も生活レベルも何もかも違う新しい生活。初めは拒絶していた世界に徐々に慣れてきたジャックは、子供との絆を持ち始め、ケイトとのいい関係も築き、仕事もうまくいき始めます。

そんなある日、チャンスがやって来ます。勤め先のタイヤ店に元の世界で勤めていた金融会社の会長がタイヤの交換にやって来たのです。

ここぞとばかりに自分を売り込んだジャック。彼の分析力に感銘を受けた会長の口添えで元の世界と同じ会社に転職できることになります。

また以前のようなハイスペックな生活が送れることに喜ぶジャックは、きっとケイトも転職を喜ぶだろう想像していました。

でもケイトは違いました。人が羨む生活ができるんだぞと言うジャックに対して、ケイトは今でも人が羨むほど十分恵まれた生活をしていると主張するんですね。

きっとこの世界に入ったばかりのジャックだったら、バカにして笑っていたんじゃないかなと思います。この庶民的な生活のどこが人から羨ましがられるんだと。

でも愛する家族がいて、家族のことを思って一生懸命働く。その良さも知った今だからこそケイトの指摘に反論できなかったんじゃないかと思います。

一人物思いに耽るジャックは家であるものを見つけます。それはロンドンからニューヨーク行きの飛行機の半券。

ジャックは13年前、ロンドンへ飛び立った翌日にケイトの元へ戻っていたのでした。

ジャックはロンドン行きの飛行機に乗るのをやめたんじゃなく、一度ロンドンへ降り立っていたんですね。

そのことが嬉しかったと話すケイトは、もしジャックが本当に転職が必要だと思うのなら、どこへでも付いて行くと伝えます。

ジャックを愛しているから。それこそが一番重要なことでどこに住もうと関係ない。2人が一緒にいることを選ぶ、と。

ついに、自分に必要なものに気づいたジャック。しかし、今度はレジの店員として黒人青年が現れてしまいます。

ジャックはこの新しい世界に居たいと望みますが、ジャックに選択の余地はありません。チラ見はチラ見であって、永遠のものではないのです。

元の世界に戻ると悟ったジャックは寝ないように必死に堪えますが、ついに眠りに落ち…。

人生で足りないと感じている何か

翌朝目覚めると、元の優雅な生活に戻ったことに気づきます。

でも今のジャックには「必要なものは全部持ってる」とは思えません。すがる思いで連絡のあったケイトの元へ向かったジャック。しかしそこで見たのは引っ越し作業を淡々と進めるケイトの姿でした。

ジャックのようにケイトもまたキャリアを積んでやり手の企業弁護士となっていたのです。そしてケイトがジャックへ電話をかけたのはクリスマスに元カレを懐かしく思ったからではなく、引っ越しで邪魔になるジャックの昔の荷物を渡すためだったのです。

ケイトの用事が荷物を渡すことだと知った時のジャックがまたかわいそうで。荷物を渡した後は用無しとケイトにあしらわれる姿は裕福でどこか傲慢なジャックにはとても見えませんでした。

ケイトが仕事のためにパリへ行くと知ったジャックは、自分の仕事を投げ出して空港へ向かいます。13年前にケイトがジャックを引き止めたように、今度はジャックがケイトを引き止めるのです。

空港へ向かう姿に、仕事はーーーーー!と思わず叫んでしまいます。ジャック変わり過ぎでしょう。部下のアランが“もしもの世界”でしっかり者だとわかったので、仕事を任せられるとでも思ったんでしょうか。

クリスマスに招集をかけておきながら自分が仕事を投げ出すなんて身勝手でしかないですが、必要なものに気づいたジャックを止められる人は残念ながらここにはいません。

ジャックはケイトの愛を取り戻そうと、“もしもの世界”の家族のことを話し始めます。もしかしたら聖夜が見せた夢かもしれないけれど、自分にとっては何よりも現実だったと愛を語るジャック。

ここで別れてもお互いこれまで通り問題なく過ごしていけるだろうけど、僕は2人一緒にいることを選びたい。だからどうかコーヒー1杯分の時間だけでもいい。僕にチャンスをくれないか。

一世一代の告白をしたジャック。

ケイトは飛行機を取りやめ、ジャックとコーヒーを飲むことに同意したのでした。

彼は天使か悪魔か。なぜジャックが選ばれたのか

ジャックをもしもの世界に送り込むキャッシュ。映画でははっきりとキャッシュが“天使”だとは言っていません。

もし天使じゃなくても彼はきっと案内人なんでしょう。キャッシュは何らかの“組織”に属していて、気づきを得れる“もしもの世界”に送る人を見定めているんだと思います。

ジャックがコンビニで喧嘩の仲裁をしたことが“組織”にも好印象だったとフェラーリの中でジャックに伝えていたようなので、良いことをしたらもしかしたらポイントを得れるのかもしれません。

コンビニでは、たまたまジャックが好印象になることをしました。もし店員がキャッシュの見た目や言動で判断せず宝くじをしっかり見ていたら、彼がもしもの世界を体験できたのかもしれません。

あるいは、ジャックが元の世界に戻ることを悟るコンビニで、ある少女は店員キャッシュがお釣りを多く渡していると気づきながらも自分が得をするために黙ることを選択します。

彼女が正直に自分が出したのは1ドル札で10ドル札じゃないと伝えていれば、彼女ももしもの世界に行けたのかもしれません。

キャッシュが取り出したメモにはこれまで何人のチャンスを逃した人たちが書き込まれていたんでしょうか。気になります。

逆の分岐点だったらどうなっていただろう

いい映画だったなと思う反面、お金より愛ってちょっと雑すぎじゃないかなとも思いました。

もしかしたら、現在のジャックが裕福な男性だからかもしれません。裕福な男性が“もしもの世界”で彼女の大切さを知り、キャリアを捨てるリスクを冒してまで、愛を選ぶ。なかなか無さそうですよね。だから映画なのかもしれませんが。

これがもし逆のもしもの世界だったらもっと心にくる話になるんじゃないかなと考えてしまいます。

13年前に愛を選んで現在庶民的で幸せな生活を送るジャックが、ある時ふと、もしあの時キャリアを選んでいたらどうなっていただろうか、と考える。

で、天使に出会って、裕福なもしもの世界へ…。

独身生活を謳歌するもしもの世界をチラ見したとき、ジャックは何を思うんでしょうか。最初は楽しいかもしれませんよね、欲しいものが何でも手に入るんですから。

でも、確かにお金があることはいいことだけど、隣にケイトがいないことに気づいた時。自分が愛ある生活を選んでいたら会えたであろう子供2人には会えないんだと考えた時。

ジャックは元の庶民的な生活がとても大切でかけがえのないものだと気づく…。なんて話もステキだと思いませんか。

最後に

個人評価:★★★☆☆(星4)
・1人で見れる
・友達と見れる
・恋人と見れる
・親子で見れる
・幸せな気分になれる
・たくさん想像したくなる