『50回目のファースト・キス』夢の中の知らないあなたと幸せそうな私。今日、またあなたに恋をする

今回は『50回目のファースト・キス』をご紹介します。

作品情報

原題:50 FIRST DATES
邦題:50回目のファースト・キス
上映時間:99分
制作:2004年/アメリカ
日本初公開:2005年

キャスト・スタッフ

監督:ピーター・シーガル(デビュー作など特記あれば)
脚本:ジョージ・ウィング

登場人物…演者:
ヘンリー・ロス…アダム・サンドラー
ルーシー・ホイットモア…ドリュー・バリモア
ウーラ…ロブ・シュナイダー
ダグ・ホイットモア…ショーン・アスティン
キーツ先生…ダン・エイクロイド

あらすじ

常夏の島ハワイ。水族館で獣医として働くプレイボーイのヘンリーは、ある日カフェでルーシーという女性と出会い、一目惚れ。意気投合した2人だったが、翌日また同じカフェで再会すると、彼女は冷たく他人行儀になっていた。実はルーシーは1年前に交通事故に遭い、その後遺症から一晩で前日の記憶を全てなくしてしまう短期記憶喪失障害を抱えていたのだった。家族や周囲の努力で、ルーシーはそうとは知らず同じ一日を繰り返していた。それでもヘンリーは毎日、初対面から始め、愛を告白する。こうして徐々に2人の関係は進展していくかに思われたが…。(引用元:allcinema.net)

感想

“1日しか記憶がもたない人の恋愛”と聞くとどうでしょう。つらそう悲しそうと思いますか?サッドエンド、バッドエンドを想像するでしょうか。

これは一夜限りの恋を楽しんできたプレイボーイのヘンリーと、一夜限りしか記憶がもたないルーシーの恋模様をお下品で愉快な仲間たちと共に描く、品がないのに爽やかなラブコメです。

本当に下品です!ナニだアレだと下ネタがたくさん出てきます。親子で一緒に見るのはあまりおすすめしません。一緒に見ると、顔は画面に向けたまま目だけ使って家族の様子をうかがうか、笑うに笑えない修行の時間を過ごすことになるかもしれませんのでご注意ください。

ただ、一人もしくは誰かと一緒にぜひ見て欲しい作品です。ラブ要素はもちろんのことコメディー要素が随所に散りばめられているので病気の話も重すぎず、楽しく見ることができます。

感想(ネタバレあり)

↓↓ネタバレとなりますので、知りたくない方はお戻りください

ルーシーの記憶障害の病名は?本当にあるの?

ルーシーは“ゴールドフィールド症候群”と呼ばれる記憶障害に苦しんでいました。側頭葉の損傷によって睡眠中に短期記憶が長期記憶へ変換されないことで起こる障害で、おそらく一生このままだろうと診断されるんです。

が、この病名は映画用につくられた完全なフィクションだそうです。

プレイボーイが記憶障害の女性を好きになった理由

これまでハワイを訪れる観光客とワンナイトラブを楽しんできたヘンリー。ある日、たまたま入ったカフェで居合わせたルーシーに一目惚れします。でも、プレイボーイのはずなのにその日は見てるだけなんですね。プレイボーイがですよ?気に入ったんなら声かけるでしょうよ。プレイボーイなら。

そこは、観察力にすぐれたヘンリーのことです。店員と顔見知りな様子からルーシーが地元の子だと思い至ったんですね。ルーシーに声をかけなかったのは“束縛が嫌いだから他州の女性がいい”という自分のポリシーを守っただけだと豪語します。

でも実は、恋愛に臆病なだけだったんですよ。大学時代に恋人が自分の指導教官と浮気をしたことがトラウマとなって、恋に本気になるのが怖くなっていたんだとか。“弱い犬ほどよく吠える”とはよく言ったもので、恋愛に臆病だからこそ遊び人のふりをしていたということでしょうか。心の奥底では本気の恋を望んでいたのかもしれませんね。

次の日、勇気を出してルーシーに声をかけたヘンリー。彼らはあっという間に打ち解け初対面とは思えないほど意気投合します。なんとなくお互いに惹かれるものを感じた2人。ヘンリーはついに理想の女性を見つけたのでした。

ルーシーは記憶障害に気づいていないのか。ルーシーの1日、家族の1日、新しい1日。

実は、ルーシーはこれまで何度か自分が記憶障害だと気づいているんですね。気づくたびにその事実にショックを受けて泣き、父親と弟が事故の様子を資料を用いて説明してきました。一緒に病院へ現状を聞きにも行きました。

それでもルーシーの記憶は1日しかもちません。翌朝にはすっかり前日の記憶がなくなりまた同じ日を繰り返すんです。父親の誕生日である10月13日を。

父親と弟はどういう気持ちで“ルーシーの10月13日”を過ごしてきたのでしょうか。毎日誕生日ケーキを食べて、毎日毎日結果を知っている10月13日のアメフトの試合を応援して、毎日繰り返し結末を知っている映画を見ては驚いたふりをして、そして毎日ルーシーが部屋に戻ってからはルーシーにバレないように次の“同じ日”の準備をして…。

飽きもするでしょうし、やめたいと思ったことも多々あるでしょう。もしかしたらこれまでに1回は、家族が演技しなかったことでルーシーにバレたことがあるのかもしれませんね。ルーシーが記憶障害を患っていることを知って傷つく姿を見るくらいならと、ルーシーが思う10月13日を過ごすことを家族は選んだんじゃないでしょうか。

でもそれと同時に、このままじゃいけないという葛藤や不安も日に日に増していったことでしょう。ルーシーの幸せを願っての行動が本当に彼女にとって幸せなことなのか、別の方法がもしかしたらあるんじゃないかと…。

だから、ヘンリーがルーシーに付きまといだしたときには反対してたものの、諦めの悪さにいつの間にか絆されて、ルーシーの新しい1日を実行した時、驚きつつも見守ることにしたんじゃないかなと思います。

ちなみにヘンリーがルーシーに初めて声をかけた日、彼らの会話はここから始まっていました。第3者、役に立ってますね!

ワッフルで家を作るルーシー。扉作りに苦戦しているとヘンリーが近づく…
ヘンリー:You know, why don’t you try this? It’s a kind of hinge.
(なあ、これ使ってみたらどう?蝶つがいみたいに。)
ルーシー:Now, why didn’t I think of that?
(思いもつかなかった。)
ヘンリー:You’re too close to the object. Don’t be too hard on yourself.
(灯台下暗しってやつ。気にしないで。)
ルーシー:You’re right. Sometimes you need an outsider’s perspective.
(そうね。一歩 外から見るって大事よね。)
ヘンリー:Fresh eye never hurts.
(”新鮮な目”も悪くない。[第3者も役に立つ])
ルーシー: I’m Lucy.
(ルーシーよ。)
ヘンリー:Yes. I’m Henry Roth. Nice to meet you.
(ヘンリー・ロスだ。よろしく。)
ルーシー:Nice to meet you.
(よろしくね。)
(引用元:映画本編より)

記憶障害がある人とどう恋愛するの?その方法とは

ルーシーが記憶障害だと知ったあともヘンリーは彼女のことを諦めきれません。これまでのプレイボーイのスキルが役立つ時が来たとばかりに、口説きの達人ヘンリーはあの手この手で近づきます。そして毎日、自分に惚れさせようと行動に出るんです。

素敵じゃないかを歌うとき

口説きたいヘンリーも相手はルーシーですから一筋縄じゃいきません。声をかけたら変態だと誤解されたり、言葉が通じないふりをして断られたり、彼氏がいるとウソをつかれたり。

それでもヘンリーがめげることはありませんでした。毎日いろいろな出会いのシチュエーションを作り上げ、初めましての挨拶をし、ルーシーにアプローチするんです。時には成功、時には失敗する中でいつしかルーシーの家族にも認められていきます。

ある日、ルーシーの父親に連れられて家に行ってみると、ザ・ビーチ・ボーイズの歌「Wouldn’t It Be Nice(素敵じゃないか)」を口ずさみながら楽しそうに絵を描くルーシーの姿がありました。

ヘンリーと会った時だけルーシーがあの歌を歌うと聞かされたヘンリーは2人の距離が徐々に、でも確実に近づいていると実感するのでした。

おはようの代わり

ルーシーの朝は1本のビデオテープを見ることから始まります。懐かしのVHSです。VHSを知らないという方は、今でいうDVDだとかブルーレイ、もしくはパソコンやスマホの動画を思い浮かべるといいでしょう。

動画を再生すると、ルーシーが自動車事故にあったときのこと、周りの人たちがどんなにルーシーを大切に思っているかということ、ヘンリーとの出会いのこと、それからこれまでのデートの記録が映っています。

もし自分だったらと考えてみると、動画を見ても自分の状況を理解するのに少し時間がかかるかもしれません。初めて知る事実に驚くでしょうし、何かの冗談かと思いますよね。悩みもするでしょう。でも、ルーシーがみんなに愛されているということがきっと伝わるはず。もしかすると思考に余裕が出て、夢の中に出てきた彼がヘンリーだったと気づくかもしれませんね。

さらに動画の中の自分の姿はどう映ったでしょうか。彼と一緒にいる自分の姿やそのときの表情を見て、彼が自分にとって大切な人なんだと認識したり、この状況はウソではなく本当なんだと納得できるんだと思います。

そうやって毎朝、事故当日から昨日までの記憶をたどったルーシーは、今日もまたあなたに恋をするのでしょうね。

まとめ

評価★★★★☆(星4)
・1人で見れる
・友達と見れる
・恋人と見れる
・素敵じゃないかを口ずさみたいときにぜひ