韓国映画『7番房の奇跡』感想ネタバレあり。セーラームーンがいてくれてたら

今回は、ヨング役のリュ・スンリョンさんの名演と、幼少期のイェスン役のカン・ソウォンちゃんが光る『7番房の奇跡』をご紹介します。

作品情報

原題:7번방의 선물
英題:MIRACLE IN CELL NO.7
邦題:7番房の奇跡
上映時間:127分
制作:2013年/韓国
日本初公開:2014年

キャスト・スタッフ

監督:イ・ファンギョン
脚本:イ・ファンギョン、キム・ファンソン、キム・ヨンソク

登場人物:
イ・ヨング…リュ・スンリョン
大人になったイェスン…パク・シネ
少女イェスン…カル・ソウォン(映画デビュー)
イェスンの義父…チョン・ジニョン
ヤンホ…オ・ダルス
チュノ…パク・ウォンサン
マンボム…キム・ジョンテ
ボンシク…チョン・マンシク
ソじいさん…キム・ギチョン

あらすじ

知的年齢が6歳のヨングは、しっかり者の6歳の娘イェスンの父親。2人は貧しくも、幸せな日々を送っていた。

そんなある日、ヨングは不幸なトラブルに巻き込まれ、少女殺害の濡れ衣で逮捕、収監されてしまう。そして7番房に入れられた彼を待っていたのは先輩囚人たちの手荒い洗礼。

ところがある時、ヨングはふとしたことから房長ヤンホの命の恩人に。

そこで7番房の囚人たちは、イェスンに会いたいというヨングの願いを叶えようと、彼女を7番房に潜入させるための一大作戦を決行する。

こうして塀の中で感動の再会を果たしたヨングとイェスンだったが…。
<引用元:allcinema.net>

感想

泣けた!家族ものに弱いのもあるけど…これは泣けた!

ありえないことのオンパレードだから、「それはないでしょ」と指摘しだすとキリがないし、メインテーマはそのありえないことじゃないから、指摘されたところで違うだろと思います。

いわゆる“映画らしい映画”ですね。

映画は、家族の愛情がとても純粋でストレートなのに対して、司法国家の理不尽さというか、歪みが感じられる作品になっています。

感想とポイント(ネタバレあり)

↓↓ネタバレとなりますので、知りたくない方はお戻りください

原題は“7番房のプレゼント”

刑務所に入れられたヨングに娘のイェスンを会わせるために奮闘する7番房のメンバーたち。

みんなでどうやったらイェスンを刑務所に呼び、さらにどうやったらイェスンをヨングに会わせられるかと考えて、ある作戦を実行します。

彼らの作戦とは…聖歌隊として刑務所へ慰問に訪れたイェスンを、“隙”を見て聖歌隊から引き離し、ダンボールに隠して7番房に運ぶというもの。

これがすんなり上手くいくはずもなく、イェスンをダンボールに入れて運んでいると刑務官が廊下の両端から迫ってきて挟まれたり、ダンボールが台車から落ちてイェスンが思わず叫んでしまいバレそうになったりとドキドキハラハラな展開に。

それでも、なんとか7番房までたどり着き、刑務所内の居房でついにヨングとイェスンは久々の再会を果たしました。

またある時は、餅店からの配達として大きな箱が7番房に届けられます。

その中にはイェスンが。なんと、“刑務所の課長”からヨングへのプレゼントだったんです。

この映画は原題が“7番房のプレゼント”なんですが、私は邦題よりもやっぱりこの原題が一番しっくりくるなと感じています。

ヨングではなく、ヨングと同じ居房のメンバーだったり刑務官だったり、周りの人からのプレゼントというのがヨングを応援したい気持ちが現れていると思うんです。

また、ヨングへのプレゼントじゃなく、“7番房”のプレゼントというのもステキだなと。

確かに最初はヨングのためにイェスンをプレゼントしようとしていたメンバーたちですが、7番房のメンバーそれぞれがイェスンと会うことでプレゼントをもらった気がします。

それは、離れた妻と会話できることだったり、楽しい踊りをおどることだったり、新しいことを勉強することだったり…。

イェスンと出会うことでこれまでにないプラスの出来事がメンバーみんなに起こったんじゃないでしょうか。

でも、いいプレゼントとは逆にこれはプレゼントであって欲しくないというものもありました。

それはヨングにプレゼントされる“いい所”へ行くということ。普段は状況の理解が乏しいヨングでも本能的に怖いと感じたんでしょう。思わず許しを請うんです。

その声はとても悲しくて重くて苦しくて、胸にずしりときます。

刑務所でのかくれんぼ

刑務所で久々の再会を果たしたヨングとイェスンですが、幸せな時間は長くは続きません。

刑務所内に子供が忍び込んでいると気づいた刑務官たちによる捜査が始まってしまうんです。

7番房のメンバーたちはイェスンの存在がどうにかバレないようにと協力し合いますが、ついに“課長”に見つかってしまいます。

7番房に隠れるイェスンが見つかるこのシーン。緩急が上手かった!

初めはザコ刑務官が7番房へ探しにやってくるんですが、そこではイェスンは隠れることに成功するんですね。でも安心したのもつかの間、“課長”が背後から忍び寄りイェスンに向かって鋭い眼光を飛ばすんです。

もうこれはかくれんぼさながらで、隠れているときのドキドキした気持ちから、“課長”が現れた瞬間に「鬼に見つかった!」という恐怖というかショックに変わりました(実際、そのショックも映像でしっかり表現されているのでぜひ見てみてください)。

イェスンの家族

知的障害を持つ父親ヨング

ヨングを演じるのは、リュ・スンリョンさん。『王になった男(2012年:광해, 왕이 된 남자)』での王の影武者を教育する長官役が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

その作品では韓国のアカデミー賞とも呼ばれる大鐘賞で男優助演賞を受賞されていましたが、翌年『7番房の奇跡』ヨング役でなんと男優主演賞を受賞されるんですね。

さて、ヨングはマッシュルームカットが特徴的ですが、この髪型は実は監督の提案だったんだとか。監督も髪型を変えたリュ・スンリョンさんを見て絶賛したそうですが、すごく役柄にあっていますよね。

ただ、この髪型は曲者でちょっと気になるシーンがいくつかありました。

課長を火が出ている部屋から救出して医務室に運ばれたシーンや、イェスンと気球に乗っているシーンなんですが、何度かこのマッシュルームカットが崩れるんですね。

それは、倒れて手当されているから前髪が流れていたり、風に煽られて前髪が上がっていたりと仕方のないと言うかむしろそうなるのが自然なシーンなんですが…髪型が特徴的すぎることもあってリュ・スンリョンさんが別人に見えてしまうんです。

男前が隠しきれてないんですね。笑

どう考えてもヨングなんですが、特に火事現場のあとの医務室のシーンは最初誰か分からず、一瞬ですが刑務官かなとか考えてしまいました。

6歳のしっかり者、娘のイェスン

ヨングの一人娘にして最愛のイェスンを演じるのはパク・シネさんとカル・ソウォンちゃん。

『美男<イケメン>ですね(2009年:미남이시네요)』で双子の兄に成り代わってバンドメンバーになるという1人2役で好評を集めたパク・シネさんが、『7番房の奇跡』では法学生となったイェスンを見事に演じています。

パク・シネさんも素晴らしいんですが、やっぱりこの映画は幼少期のイェスンを演じたカン・ウォンちゃんに尽きるかと。

カン・ソウォンちゃんはこの作品で映画デビューを果たすんですが、何から何まで可愛い!

世間から見たら、父親は障害があって親として不十分だと判断されがちなのかもしれませんが、イェスンにとってはパパに障害があるとかないとかは関係ないんですね。

同年代の子と比べるとしっかりしているイェスンが実はパパには甘えたで。パパが本当に好きでパパと一緒にいて幸せな様子だとか、パパから愛されて育ったんだなと見てわかり、いい家族だなと素直に思います。

だからこそ、イェスンの涙がぐっと心に響くんです。泣くなと言う方が無理あります…。

そんなカン・ソウォンちゃんなんですが、韓国ドラマ好きの私はどこかで見たことあるなと気になっていました。

韓国ドラマ『華麗なる誘惑(2015年:화려한 유혹)』でチェ・ガンヒさん演じるウンスの一人娘ホン・ミレを演じていた子だったんです。

ミレも親思いで、ちょっとませていて、しっかりもしていて、そして可愛い子だったんですが、イェスンも同じような印象を受けました。

どっちの役がどうだと言うのは難しいんですが、どちらも本当にいい子で可愛いです!

イェスンの養父となる“課長”(のちの署長)

カン・ソウォンちゃんが『華麗なる誘惑』に出ていたと書きましたが、実は養父役のチョン・ジニョンさんも同じドラマに出ています。

しかも、今回と同じくカン・ソウォンちゃんの父親になる人物として。

この映画の方がドラマより先に制作されているので、ドラマがどこまでこの間柄を“参考に”していたのかは分かりませんが、ドラマを先に見ていた私は「あらあら映画も同じような関係になるんですか」と共通点を見つけて密かに喜びました。

ハッピーエンド!?

映画を見終わった時、これはハッピーエンドかそうじゃないか意見が分かれそうです。

私は、この映画は決してハッピーエンドではないと思っています。むしろサッドエンドじゃないかと考えます。

大人になったイェスンが司法研修院の模擬裁判で父親の事件を扱い、冤罪だったと訴えます。そのためにこれまで集めた証拠や証言を再現していくわけですが…。

父親の“弁護人”となったイェスンが父親に判決を下した全ての人と戦っていく姿は、当時の裁判官や検察、弁護人に陪審員たちまでを相手に実際にやりあっているかのような作りになっていて見応えがあります。

でも、過去と現実が混ざり合うからこそ切なさが増すと言いますか…。

父親の事件はすでに判決が出ていて、冤罪だとこの模擬裁判で認められても、父親が帰ってくることは絶対にないんですね。言うなれば、父親の名誉だけのために戦っているようなもの。

確かに、この模擬裁判で“救い”はあります。でも遅いんですよ。

なぜ当時、味方となるはずの弁護側が誰も“確かな証拠”“変えようのない真実”を疑わなかったのか。

成長したイェスンのようにヨングに寄り添って抱きしめてくれる人がいてくれたら、そしてセーラームーンのように“正義の名の下に”戦ってくれる人がそばにいてくれたらと悔しい気持ちでいっぱいになりました。

最後に

個人評価:★★★☆☆(星3)

・4に近い3だと思う
・カン・ソウォンちゃんが可愛い